続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

竹取物語 阪倉篤義工訂

 

竹取物語 (岩波文庫)

竹取物語 (岩波文庫)

 

 

高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を何度かみてるうちに思った。かぐや姫ってこんな話だったっけ?かぐや姫は子供の頃に絵本で読んだ程度だろうか。よく考えるとかぐや姫のちゃんとした原作はよく知らない。ならばと思って読んでみた。

 

読んでなるほど。高畑監督は実にしっかりと原作通りに映画を作っている。捨丸を加えた以外はほとんど原作通りに映画化されていた。

 

これが日本最古の物語だというのだからすごい。実に想像力豊かに、ときにはジョークも交えながらお話は進む。竹から生まれたのは実は月の国の人だから、という落ちも改めて思うとすごい。さらには地上へ堕ろされたのは姫がなにか罪を犯した罰であるという。「姫が犯した罪と罰ー」というのは高畑監督のかぐや姫のキャッチコピーであるが、これは映画オリジナル設定かと思っていた。原作にもちゃんとあるのね。

 

今よりはるかに「生きる」ことが大変だった時代。人々はその苦しみの原因は地上が穢れた地であるためと考えていたのだろう。そして、天井には穢れなき国があると信じ、いつかはそこへ行けるかもしれないと思ったのだろう。物語を通して平安の人々の思想が垣間見える。改めてすごい作品だと思った。