続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

サド侯爵夫人 わが友ヒットラー 三島由紀夫

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)

三島由紀夫が男の社会と女の社会を描く。これを両方できるというのが、三島由紀夫の凄さというところだろうか。

加えて、全体に漂うストイックな雰囲気に、著者のただならぬ世界観を感じる。誰もが皆闘っている。生きることは闘うことだと訴えかけてくるストーリーだ。

今の時代にはそぐわないのだろう。ただ、かつてこの本に描かれる社会は実在したし、必要だったのだろうと思う。どこかで、それは失われたのだ。それを三島由紀夫は嘆いたのではないだろうか。

世の中がきな臭くなる昨今、こういう社会がまた求められるのかもしれない。個人的には遠慮したいと思うのだが...