続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ゴッホ 最後の手紙

 

 

己の魂をキャンパスに描いた稀代の画家ゴッホ。彼の人生は苦難に満ちていた。そんな彼の自殺後、弟テオに当てた手紙が見つかった。ゴッホの友人ジョゼフ・ルーランは息子アルマン・ルーランにこの手紙を届けさせるのであった。アルマンの捜索を通して、ゴッホの死の前後が垣間見えてくる。謎に包まれたゴッホの自殺。その真相は如何に。

 

なによりこの作品の特徴はゴッホの油絵がそのままのタッチで動くという他に類を見ない映像である。100人を超える画家が作画に関わったとのことで、おそらく手書きなんだろうが一体どうやって作っているのか。常にというわけではないが、背景もうねうねと動き続ける。名画の数々も登場する。ジャパニメーションPixarの3Dともちがう不思議な映像だ。不思議な映像のなかを俳優たちは時に浮き上がるように、ときに溶け込むように動き回る。万人うけするものではないかと思うが、一見の価値ありである。

 

作中ゴッホは死後のため、その姿は常に他の登場人物の口で語られる。なにを真実と考えるのは観た人が決めればいいのだろう。彼の死には謎がおおいが、そこに結論を出す必要はないと思う。

 

ちなみに原題は「Lovely Vincent」である。ぼくは邦題よりこっちのほうが好きかな。