続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

宮本武蔵(五) 吉川英治

 

宮本武蔵(五) (新潮文庫)

宮本武蔵(五) (新潮文庫)

 

 「では」(武蔵)

「では」(権之介)

 

物語は中盤。時代の流れに飲まれてか、武蔵も又八も、登場人物たちは江戸を目指す。まだ御新開とされ開拓が続く江戸の都。この時代の日本のフロンティアで物語はどう動いていくのか。

 

ついに又八と武蔵が再開する。共に関が原で戦った腕白坊主たちは全くちがう道を歩んだ。武蔵を光とするなら又八は影だ。あるいは又八はもうひとつの武蔵の可能性であったのかもしれない。強い光に当てられてか、又八の影はますます色濃くなっていく。誰も望んでいるわけではないのに。人の世はままならない。

 

新旧登場人物が入り乱れ、それぞれの物語が動いている。群像劇はますます複雑になっていく。先が楽しみだ。多いに盛り上がりを高めてくれる一巻であった。