続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

攻殻機動隊 Ghost in the Shell ルパート・サンダース

 

攻殻機動隊 ( GHOST IN THE SHELL ) スカーレット ヨハンソン ポスター
 

 

 うーん。地雷でした。いや、たぶんそうだろうと思って観にいったけど。

 僕自身は押井守監督のGhost in the  Shellを観てすげえと思った口である。TVアニメシリーズも観ているし、近年原作マンガも読んだ。わりとずっぽり攻殻ファンである。

 本作で良かったのは、過去の作品(押井版やTVアニメ)の印象的なシーンを実写で再現している点だろう。カメラワークからキャラクターの動きまで、たぶんほとんどいじらずに再現しているのだと思う。監督の愛を感じた。特に押井版への愛がある。

 一方、名シーンを押し込むためストーリーや設定はぐちゃぐちゃになっている。そこかしこに突っ込みどころが有るし、世界観もハチャメチャである。たぶん、攻殻ファンの多くは、原作者士郎正宗押井守監督の作り上げた徹底的に考察された世界観や設定に惹かれているので、そこをないがしろにされると腹が立つ。

 キャラクターも外見の完成度は高いが、その内面は非常に大味。少佐の繊細さや、バトーの愛情を表現するのはアメリカ人には難しいのかもしれない。このあたりも作品が薄っぺらく見える原因だろう。

 その他の文句も書いておく。まず、なぜビートたけしのみ日本語で話すのか。作中に明らかに日本人と思われるキャラクターが登場するが彼らは皆英語である。なぜたけし演じる荒牧課長だけが日本語なのか。たけしが英語しゃべれないなら、アテレコでも良かったんじゃないか。いろんな言語が多国籍に飛び交うという設定でもないので、非常に違和感がある。

 もう一つ、監督の日本のイメージが雑過ぎる。正直、最後までみて舞台がどこの国かわからなかった。日本と中国と東南アジアをごっちゃにしたような街である。近未来の感じは、妙な立体映像の広告で打ち出されている程度。そのイメージは貧困過ぎないか?

 攻殻機動隊は知識と想像力をフルに活用して超未来の出来事を凄まじいリアリティで描く作品だと認識している。サンダース監督は原作者やアニメ作品の監督にはまだまだ劣るところがあるようだ。