豆腐小僧双六道中 京極夏彦
「われらは文化なのだ。知性なのだぞ」(滑稽達磨)
京極夏彦が妖怪描く、というちょっと変わったシリーズ。妖怪を題材として扱うのではなく、妖怪豆腐小僧を主人公に据えて、わきを固めるのも妖怪たち、妖怪珍道中の始まり始まり。
タイトルがなんだがあほっぽくて、なんとなく読むのを避けていたがとうとう読んだ。そして後悔した。もっと早く読めばよかった。これこそ京極夏彦流の「妖怪とななんぞや?」に対する回答に溢れた妖怪入門書なのである。
「おいらはいったいなにものなのだろう?」と自分探しの旅に出る妖怪・豆腐小僧。彼は旅先で様々な妖怪に出会い、人と出会い、少しずつ「妖怪」をわかっていく。この旅を追うことで、我々読者も「妖怪」を理解できるという仕組みの一冊。
この本こそや柳田國男に始まり、水木しげるが書き綴って残した「妖怪」を現代につなぐバトンではないだろうか。妖怪研究家・京極夏彦ここにあり、という一冊である。