五輪書 宮本武蔵
- 作者: 宮本武蔵,渡辺一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/02
- メディア: 文庫
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「我一流において、太刀に奥口なし、構に極りなし。唯心を持って其得をわきまゆること、是兵法の肝心なり」
剣豪、宮本武蔵がその修正己の兵法をまとめた五巻。戦いの技術書であり、大小2つの刀を扱う二天一流について書かれている。
しかし、技術よりもどりらかというと心理的な所に重きが置かれており、技術的なことはあまり書かれていない。戦いに臨むときの意識や心のあり方、相手との駆け引きが主であり、刀の振り方や脚さばきなどについて深く書かれているわけではない。
武蔵自身も、そういった細かな技術に興味はないようだ。兵法は「人を斬る技術」と言い切り、そのために必要なことをすれば良いと考えている。大局を捉えて行動するには、小手先の技術よりも、大まかな思考が重要なのだろう。
全体を通して「よくよく吟味あるべし」という言葉が使われる。常に状況を把握し、常に手を考えることが大切なのだろう。戦いの世界に正解はないのだ。それをサラッと書いてしまうところに、達人の凄さのようなものを感じた。