羅生門 黒澤明
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「人の気持ちを考えてたらきりがねぇ!」(泥棒)
昔々、平安京の物語。羅生門で雨宿りする男たち。そのうち2人は、恐ろしい話を見聞きしたという。雨宿りのついでに話を聞こうという男が現れ、物語が語られる。それは1人の男の死についての奇妙な物語であった。
黒澤明の出世作。芥川龍之介の羅生門を下書きとしながら世界観を大きく広げた映画になっている。ストーリーもまるで違うが、テーマは原作と同じ。すなわち人の心であり、その闇を描いている。短編小説を90分の映画に拡大するの手腕は見事。
脚本もさることながら、出演者の演技がすごい。おどろくほどに自然だ。乱闘シーンなども、まるで本気で喧嘩しているようである。演技っぽさが全くない。
人は一体なにを信じて生きていけばいいのか。そんなことを深く考えさせられるいい映画だった。ドロドロしたストーリーでありながら、ラストシーンは希望に満ち溢れている。止まない雨はないのだ。
日本映画界は大ヒット漫画の実写映画を作るより、こういう映画を作るべきだ。日本人にしか出せない、心の機微ってものがある。そういう映画こそ世界が日本に求めているのではないだろうか。