続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

風立ちぬ 

 

風立ちぬ [DVD]

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 「ここは私達の夢の草原だ」(カプローニ伯爵)

「地獄かと思いました」(堀越二郎

 

この世界の片隅に」を観たときにこの映画を見直せねばと感じた。実は今回で3回目になるのだが、なんだかこの映画はすごくぼくの心に刺さっているのだ。

 

2つの映画に共通するのは「戦争という環境下での普通の人を描く」ということでは無いだろうか。

 

風立ちぬの主人公堀越二郎は、戦争へ突き進んでいく日本の中で戦闘機の設計を行っている。飛行機に己の夢を見出した彼は、戦争という環境のなかで自分の夢をかなえる場所を戦闘機の設計士に見出した。戦争があろうがなんだろうが、ヒトは夢に向かって邁進する。

 

ヒロイン・菜穂子はそんな彼のまっすぐな心に惹かれる。死の病である結核に蝕まれる彼女は自分の姿を二郎の心に刻むためだけに生きる。たとえ死に直面しても彼女は彼女なりの夢を見出して生きたのだ。

 

風立ちぬは戦争に向かう過酷な環境の中で、、それでも夢のためにまっすぐに生きた2人の物語だ。そして戦争はただそこにあったのだけであった。それだけだ。二郎も菜穂子もただその中で生きただけであった。ここが宮﨑駿のすごいとこではないだろうか。戦争が善であろうと悪であろうと、人々はだだ生きていくしかだいのだ。そして生きていくことができるのだ。そんな人間の強さがこの映画には描かれている。