続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

この世界の片隅に

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック

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映画を見てきました。

広島市から呉市へ嫁入りしたすず。のほほとした性格の彼女の生活を戦争がじわりじわりと蝕んでいく。

主人公・すずはぼんやりした空想癖のある女の子。絵を描くのが趣味である。呉市の周作に見初められ、嫁入りするところから物語は始まる。慣れない生活、新しい人々との出会いに戸惑いながらもすずはすずは自分らしく生きていく。一方で、次第に悪化していく戦況。果たしてすずの運命は。

戦争の中にありながらすずさんは「ふつう」の感覚を保っている。この「ふつう」とは我々観客の基準で言うところの「ふつう」だ。周りの人々は戦争に飲み込まれていく。戦争という環境に適応していく人々の中で、すずさんだけは我々と同じように平和ボケしたようなおっとりさを持っている。
この物語は戦時下に「平和ボケした現代人」を放り込んだらどうなるのか、というお話なのだ。

すずさんの周りに、そしてすずさん自身に戦争がじわじわと影を落としていく。個人的には「亡骸を見ても、自分の子供だとわからなかった」と淡々と話すおばさんが最も印象に残った。