セッション
音楽大学の学生ニーマンはドラマー志望。孤独に練習を続ける彼を見出したのはフレッチャー教授。ニーマンはフレッチャーが率いる学内最高のバンドに入ることになるが、そこでフレッチャーの想像を絶するしごきがはじまる。
ニーマンの青春を軸に物語は進む。フレッチャー・バンドへ招かれ浮かれ、ボロクソにシゴカれて凹み、恋をし、失敗と成功を繰り返す。これがトランペッターの物語なら、どこかで観たようなお話だろう。ドラマーというところが渋い。
音楽素人のぼくからすればドラマーは地味な印象だ。座ってるから派手な動きはしずらいし、リズムを刻む役割だからあまり音が全面には出てこない。
しかしニーマンのドラムは壮絶だ。汗を滝のように流し、スティックを持つ手は血まみれになる。ドラムだけワンシーン持つぐらいの迫力がある。すごい。ドラマーのかっこよさを始めて理解できた。
また、もう一人の主人公フレッチャー役のJK・シモンズの演技がすごい。狂気をひしひしと感じる。音楽を愛し、最高の演奏者を育てることに憑かれ、自分の理想を何一つゆずらないフレッチャー。観ている方が針でさされるような狂気を放っている。正直、こんな先生に付いたら今の若者は1日と持たないんじゃないだろうか。
現代は「Whiplash(むち打ち症)」だが、ラストシーンはまさにニーマンとフレッチャーの「セッション」だった。珍しく邦題good jobと思った作品である。