続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

雨ン中の、らくだ 立川志らく

雨ン中の、らくだ

雨ン中の、らくだ

志らくとは同じ価値観を持っている』(立川談志

立川志らく一代記、とみせかけて弟子の目から師匠立川談志を描く。著者も前書きで書くように、この一冊は立川談春の『赤めだか』に対して『青めだか』なのである。

この本では意外な談志の優しさが強調されている。やはり師匠が弟子に向ける顔にはいろいろあるようで、赤めだかでは弟子に厳しい師匠としての談志が強い。これは『同じ価値観を持っている志らく』と『同じ価値観を持とうとする談春』という視点の違いなのかもしれない。

また、本書では『落語の感じ入り方』とでもいうべきものが見えてくる。著者が凄いと感じた噺を冷静に分析している。もちろんそれは自分の芸のためなのだが、その説明がわかりやすくていい。

それにしても落語家さんの書く文章は読みやすい。本当に噺を聴いているようだ。著者は落語には独特のリズムがあると言う。確かにそうだろう。そのリズムは文字になっても失われることはないようだ。