雨ン中の、らくだ 立川志らく
- 作者: 立川志らく
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2009/02/19
- メディア: 単行本
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立川志らく一代記、とみせかけて弟子の目から師匠立川談志を描く。著者も前書きで書くように、この一冊は立川談春の『赤めだか』に対して『青めだか』なのである。
この本では意外な談志の優しさが強調されている。やはり師匠が弟子に向ける顔にはいろいろあるようで、赤めだかでは弟子に厳しい師匠としての談志が強い。これは『同じ価値観を持っている志らく』と『同じ価値観を持とうとする談春』という視点の違いなのかもしれない。
また、本書では『落語の感じ入り方』とでもいうべきものが見えてくる。著者が凄いと感じた噺を冷静に分析している。もちろんそれは自分の芸のためなのだが、その説明がわかりやすくていい。
それにしても落語家さんの書く文章は読みやすい。本当に噺を聴いているようだ。著者は落語には独特のリズムがあると言う。確かにそうだろう。そのリズムは文字になっても失われることはないようだ。