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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

シアター

道 [DVD]

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旅芸人のザンパノに買われた貧しい娘ジェルソミーナ。純粋な彼女はザンパノの女房役として、一緒に芸をしながら旅を続けるであった。芸人としての旅は楽しかったが、ザンパノからのヒドイ扱いにジェルソミーナな次第に不満を募らせていく。しかし彼女はザンパノとの暮らしに価値を見出し生きていくのであった。

ジェルソミーナはザンパノを愛しているとは言い難い。ただ、彼のそばにいることに意味があると信じているのだ。それは身も心も疲れ果てた中身を寄せたサーカス団との出会いによる。サーカスの綱渡り芸人リチャードは彼女に言う。「どんな道端の小石にも意味がある。ザンパノの側にいてやれるのは君しかいない」と。

リチャードは狂人だ。思いのままに生きて、好き勝手に笑い転げる。しかし彼の言葉にジェルソミーナは心救われた。自分の中に意味を見出したのだ。人間は理屈っぽい。意味を常に求めて生きていると言ってもいい。「私はなぜ生きているのか」という問いはあまりにも重く苦しいが、自分なりに答えも持てることは大きな力になる。

良いも悪いも、賢くも愚かも、人間は生きていくしかない。なんと悲しい運命だろうか。

ところで、映画を見ながら思い出したのは筋肉少女帯の「サーチライト」だった。映画ではリチャードが夜間の綱渡りを披露し、彼にサーチライトが当てられる。憧れの顔で彼を見つめるのはジェルソミーナだ。後にリチャードは彼女に「俺と一緒に来いよ」と言う。「俺が綱渡りをおしえてやるえ。お前にサーチライトを当ててやるよ」などと口説く。世の中の陰に暮らすものにサーチライトを当てたいと願う大槻ケンヂの歌詞は、リチャードのこの言葉をから来るのではないだろうか。