続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

アマデウス

アマデウス ディレクターズカット [Blu-ray]

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舞台アマデウスの映画化作品。凡人サリエリの回想で、天才モーツアルトの生涯を描く。

クラシックに全く詳しくないので、モーツアルトがこんなに波乱万丈の人生を送っているのかと驚いた。天才的な音楽の才能を持ちながら、自由奔放で生活観の無いモーツアルト。音楽人としては優秀の域は出ないが、堅実に生きるサリエリサリエリモーツアルトの才能にこそ憧れ、そして羨んだのであった。若い力を認められないサリエリは徐々にモーツアルトを追い詰めていく。

対称的に描かれる2人の主役が物語を際立たせる。どんな世界に光と影がある。自分の望む側に立っていられるとは限らない。持ちつ持たれつなのだ。光輝く人生を歩んでいたモーツアルトは、父の死をきっかけに暗闇へと転がり落ちていく。自身の才能に絶対の自信があったが故に、彼の周りには敵も多かった。暗闇からモーツアルトの輝きを見つめていたサリエリは、モーツアルトの死の淵でその才能に接して救われる。純粋に彼の才能を認め、己の位置を見定めたのだ。しかし、時すでに遅かった。

全体的に華やかな場面が多い中、後半に出てくる「死」のモチーフが大変印象深い。モーツアルトの生と死を描いた素晴らしい映画だった。