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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

タクシードライバー

アメリカン・ニュー・シネマ後期の作品にしてロバート・デニーロ出世作

退役海兵のトラヴィス不眠症に陥り、仕方なくタクシードライバーを始める。夜の仕事を通して、酔っ払い、荒れる若者、売春婦など人間の闇をまざまざと見せつけられた彼はいつしか狂っていく。理想と現実のギャップに対応できず苦しみながら、彼は自分の力で現実を変えようとするのだった。

たった1人の孤独なトラヴィスが世の中に衝撃を与える。このジャイアント・キリングこそがアメリカン・ニュー・シネマの真骨頂なのだ。

一方で、今の目線で見るとトラヴィスはいわゆる中二病に見えるではないだろうか?独りよがりで、周りを顧みず、カッコをつけて気に入らないものをぶち壊そうとする。奇抜な格好を選び、奇妙なセリフを口走る。今の世にトラヴィスは現れないだろう。しかし、トラヴィスと同じ状況に陥る若者は多々居るはずだ。いつの世にも、若者は不満をたぎらせているのだから。現代のトラヴィスは何を企んでいるのだろうか。

追記(2016/09/19)
そういえばトラヴィスはラストで大統領の就任演説会場に赴く。フル武装してヤル気マンマンだ。たぶん、女の鼻を明かしてやろうといういい加減な動機だ。でもこれは失敗する。あっという間にSPに目をつけられ会場から逃走せざるを得なくなる。

で、そのあとラストシーンへ。売春宿に押しかけて女の子を救う。しかしこれも助けを求められたわけではない。女の子は世の中を知らず売春宿の生活に満足していたのだから。

どちらにしても、トラヴィスの行動の源は思うようにならない世の中への怒りと不満だったわけだが、かたや大犯罪、かたやヒーローである。

人間の行動の源はなんでもいいのだ。問題は爆発のさせかただ。トラヴィスはたまたま大犯罪を犯さずに済んだ。これはそういう映画なのだろう。