続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

斜陽日記 太田静子

斜陽日記 (朝日文庫)

斜陽日記 (朝日文庫)

『大丈夫。私のことは大丈夫。お母さま!美しいものや、優しいものは、きっと残ります。戦争に敗けて、国がなくなっても、美しいものが滅びることはないと思います。たとえ、滅びても、物語が残ります』(静子)

これは生の日記である、と作者はあとがきで綴る。大戦を背景に描かれる日々の暮らし。上流階級からの没落。母の病。淡々と静かで、
それでいて張り詰めた弓のようにするどい日常。

母、静子、その周りの人々。それぞれが自分の生き方を探りながら生きていく。戦争があろうと無かろうと、そこに人は生きている。生きている人間は哀しく、美しい。

宮崎駿の『風立ちぬ』と同じ空気を感じた。