続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

現代落語論 立川談志

現代落語論 (三一新書 507)

現代落語論 (三一新書 507)

今、新作でお客が笑っているのは、ナンセンスのおもしろさであって、落語の本質である人情の豊かさではけっしてない。(著者)

初めて立川談志の鼠穴を見たとき衝撃を受けた。磨き上げられた芸というものをテレビの画面越しにビリビリと感じた。

そんな談志が30歳にもならないころに書いた本書は落語への愛で溢れている。落語をいかに受け継ぎ、育て、また次に引き渡していくか。若い頃から広い視野と視点は健在。この人は世界を俯瞰するように見ているのだと感じた。

落語はお笑いの一つのカテゴリーにら収まらない。落語というものはあらゆるものを吸収し得る大きな1つのジャンルなのだ。そして自らの芸を磨き続ける落語家がいる。談志が愛したのはそういう落語なのだろう。

カバー裏には師匠柳家小さんからのメッセージが添えられている。師弟愛が垣間見えて、なんだか泣いてしまいそうだった。