続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

西巷説百物語

死は穢れではない。
死体が腐るだけだ。

物語シリーズ第4弾。主役は又市のかつての相棒、霞船の林蔵。そして舞台は上方へ移る。

舞台や主役が変わったことで作品の雰囲気が随分と変わっている。又市と林蔵はよく似ているが手口は違うのだ。また、今作では各話の視点は事件に関わる人物である。必然、読者は彼らの視点で物語を読み進める。そうして気づくのだ。仕掛けられていたのだ、と。

個人的には『豆狸』が良い。人の心は善であっても、善であるが故に迷う。迷った善人の心を闇の住人たちが元の道へと導く。いままでに無い、心ふるわせられる内容であった。