続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

127時間

 

 

実話に基づく映画り無人の荒野で腕を岩に挟まれ身動き取れなくなったアーロン。彼は果たして生存することができるのか。

 
絶体絶命のピンチを知恵と工夫で乗り切ろうとあがく主人公。生きようとあがく人間の強さに心打たれる。
 
一方で、本作のもう一つのテーマは人と人とのつながりである。
 
アーロンはどちらかといえば自分勝手で、1人の世界に生きる男だった。自分のことは自分でやる。そこに誇りを持っている。
 
しかし、1人ではどうにもならないピンチに至り、彼は様々な後悔に見舞われる。腕を挟んだ岩は彼の宿命であるかのように見えてくる。
 
極限の死闘の末、彼は岩からの脱出し、こういう。『ありがとう』と。一見意味がわからないが、そのすぐあとにこの言葉の深みがわかる。
 
彼は『助けて!』と叫ぶのだ。これこそ彼が頑なに拒み続けてきた言葉であり、事故前後での彼の変化なのだ。つまり極限状態を通して彼は成長した。『ありがとう』はそのことへの感謝なのだ。実に深い。この一言のための映画と言っても過言ではないと思う。