続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

謎解きはディナーのあとで 東川篤哉

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)


「失礼ながらお嬢様ーこの程度の真相がお分かりにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」(執事 影山)


お嬢様が遭遇する難事件に、執事の影山が失礼ながらも謎を解く!

探偵役とワトスン役の立場がひっくり返ったミステリ。非常にコミカルな描写もミステリには珍しい。ミステリは重く静かな水銀のようなお話になりがちだ。しかし、本作は軽く流れるような炭酸水のような味わいである。「ミステリはちょっとむずかしそうで…」と敬遠してる人にはちょうどいいかも。

一方で、ホームズや乱歩からはいった、ガッツリ、濃厚で、人の心の闇に迫るようなミステリファンにはいまひとつかも。何しろ犯人の動機などには、あえて一切触れないのだから。

軽い軽いスナック菓子にようなミステリ。今の時代にはぴったりなのかもしれない。