続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ブラック・スキャンダル


「あたしはハートが欲しいのに、あんたはハートをみんな捨てちゃう」(ジェームスの母)

米国での実話に基づくストーリー。FBI、マフィアのボス、上院議員。彼らは幼きころボストンに育ち、厳しい環境の中で忠誠心と友情を学んだ。彼らの再会が泥沼の事件を引き起こす。

マフィアのボス・ジェームスを演じるジョニー・デップが凄まじい。マフィアのボスとしての冷徹な顔とプライベートでの親愛な顔を実に見事に演じ分けて居る。別人じゃないかと思うほどの切り替え。ジャック・スパロウのひょうきんさとスウィーニー・トッドの無機物的な感じを、1人のキャラクターに融合させたというところか。

殺しのシーンが淡々としているのも良い。アクション映画ではないので当たり前だが。無駄弾を打つことなく冷徹に殺しをやってのけるジェームズには狂気すら感じる。台詞の端々にも重みがあり、ジェームズのポリシーを感じさせる。これらがジェームズの強烈なカリスマ性に繋がるようだ。

ヒトの繋がりは時として重荷になる。ジェームズという超ヘビー級の存在は、周りの何もかもを巻き込んで沈み込んでいく。忠誠心は美徳だが、どこに向けるかが大切である。改めて、そんなことを思い知らされる映画だった。ビリビリ痺れるような緊張感を味わいたいヒトにオススメ。