サイコ
『ここを捨てるだって?僕の世界はここだけだ!』(ノーマン・ベイツ)
巨匠ヒッチコックの名作。白黒の古臭い映画とバカにしてはいけない。今にも通じる背筋が凍るようなサスペンス映画だ。
ヒッチコックは世の中の『謎』に真っ向から挑む映画を撮ったヒトだと思う。
このサイコではヒトの『頭の中』という謎に果敢に挑む。ノーマンはその象徴的な存在である。そしてぼくには登場人物たちが皆曲者のように思われてならない。
不倫の果てに職場の金を横領する女、そこまで女を追い込む男。何よりも金を心配するおっさん。対面を気にする妹。他人の印象を最優先にする母。
ここに妙なリアリティがある。世の中は曲者だらけなのかもしれない。