続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ゾンビ

 

 

『地獄が一杯になると、死者がこの世を歩き始める』(ピーター)

 
ホラー映画の金字塔。今や誰でも知ってるゾンビの原作。
 
ホラーと思って見てみたら、実はそんなに恐怖描写はない事に驚いた。ゾンビ達は個々の能力は低く、一対一ならぼくでも勝てそう。特殊メイクなんてのもほとんどなく、ゾンビ達は皮膚を青く塗っているだけ。服のスキマとかから肌色が見えまくる。挙げ句の果てには水に落ちたゾンビの肌は健康的な色に戻っている。BGMも軽快でコミカル。あまり恐怖心を煽らない。
 
しかしそれでもやはりホラー映画である。
ゾンビは無数にいる。倒しても倒してもキリがない。この戦いは初めから負け戦なのだ、という感じが終始漂う。ゾンビメイクは簡単な分、『人』であることが強調される。コミカルなBGMは場違いな感じがして、なんだか狂ったような感じに陥る。
 
そして何よりも怖いのは、ゾンビとはなんなのか。何故死者が蘇ったのか。誰も説明してくれない。
 
ゾンビは無数の不条理である。主人公たちは不条理に襲われながらも、知恵を振り絞って生き延びようとする。人間らしさを、条理を保とうとする。
 
ホラー映画は怖がらせるためにあるのではない。恐怖を乗り越えて、生き抜くことの大切さを伝えているのだ。