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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

月と手袋 江戸川乱歩

本棚

月と手袋 (江戸川乱歩文庫)

月と手袋 (江戸川乱歩文庫)



「われわれは浮世のことに飽き果てて、ただ美しい夢にあこがれ、夢に生きる人種なのです」(喜多川治良右衛門)

江戸川乱歩文庫から月と手袋。表題作の他に地獄風景、モノグラム、日記帳の3編を収める。いずれも人間の心の奥底へ踏み込むストーリー。乱歩独特の文章に目眩を起こしそうになる。

個人的にはパノラマ島奇譚の流れを組む「地獄風景」がお気に入り。パノラマ島奇譚と同じく人工楽園の猟奇にみちた光景を描きつつ、ミステリとしての体をしっかりと持っている。

パノラマ島〜は伝聞のように聞こえるが、こみらは読みながら自分も島の一員になったような気がする。いったい誰が犯人のか、自分も殺されてしまうのではあるまいか。人工楽園の奇妙な世界の中では、感覚がしびれて考えられない。

江戸川乱歩の猟奇の世界にどっぷりハマれる1冊。現実離れしたシビれる感覚を味わい方にオススメだ。