続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

美女と竹林 森見登美彦

美女と竹林 (光文社文庫)

美女と竹林 (光文社文庫)



「竹、切らん?」(登美彦氏)
「ええよ」(明石氏)

これからは竹林の時代である。それに気づいた登美彦氏は多角経営を視野に入れ、竹林を刈りつつ、竹林伐採エッセイもついでに書いてしまうという、なんだかよくわからない仕事に挑むのであった。

ひょうひょうとした文体で描かれるエッセイ。どこまでが本当で、どこからが妄想なのか。なんとも言えない面白さが続く。

森見登美彦の面白さの1つは擬音の表現ではないだろうか。「ぷつぷつと呟く」、「ふわふわしたタケノコ」、「ぴっぴっとビームを出す」というような表現が文章に独特の雰囲気を与え、なんともゆるく楽しい気分にさせてくれる。

結局、あんまり竹は刈っていないし、美女要素も無理くりねじ込まれてあんまり竹とは関係ない。しかし、本書を読めば「美女=竹林」の方程式が体に刷り込まれてしまうだろう。作者の驚異の妄想力と文章力に、肩の力を抜かざるを得ない。