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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

喜嶋先生の静かな世界


『言葉は、内容が全てだ』(喜嶋先生)

森博嗣の自伝的小説。

主人公のぼくは、喜嶋先生の背中を見て、研究者としての一歩を歩み始める。

おそらく喜嶋先生にはモデルがいるのであろう。しかし、こんなにも自分の好奇心に純粋な人間がいるのだろうか。いや、きっといるのだろうか。そんな人間が居ることを心から信じたいと思う。

大学という現場を、実に見事に描き切った作品であると思う。著者が元大学人であるからこそだろう。

この本を読んで、大学人っていいなと感じた人は、是非大学院への進学を考えてみてほしい。君たちが人間の限界を押し広げていく。

逆に、この本を読んで大学人に幻滅する人も居るだろう。それも当然だと思う。喜嶋先生はやはり『一般』から見れば変人だろう。主人公のぼくもいわゆる朴念仁のように描かれる。でも、彼らは必要なのだ。人の役に立たなくてもいいのだ。彼らの存在こそが、人間の象徴とも言える。そう思える作品だった。