陰陽師 龍笛ノ巻 夢枕獏
「鬼と女とは、人に見えぬぞよき」(露子姫)
陰陽師シリーズ第6弾。
各キャラクターの輪郭がしっかりしてきて、物語にいっそうの深みが感じられる。
特に蘆屋道満は、この巻でぐっと印象が変わったように思う。安倍晴明と蘆屋道満は光と陰だ。安倍晴明と同等の力を持ちつつも、陰の中に生きるキャラクターである蘆屋道満。力を持て余しただいたずらに世を騒がせる彼を、晴明だけが相手をできる。コミュニケーションをとることができる。その結果かどうか、少し道満の中に晴明のような心が芽生えているように思えるのだ。
物語を重ねることで、キャラクター達は成長していく。この巻をもって、蘆屋道満は真の意味で晴明と対を成すキャラクターへ成長したのではないだろうか。