イワンの馬鹿 トルストイ
そんなわけで、始めてのトルストイ。
イワンの馬鹿は童話だ。もっと子供向けの楽しげなお話かと思っていたが、これがなかなか風刺がきいている。このお話は「人間が生きていく」ということを再認識させてくれる。
世の中、上を見ればキリがない。贅沢を重ねても、どこかで無理がでてくるだけだ。シンプルに「生きるとはどういうことか」をトルストイは提示してくれている。その思想は、今まさに必要なものではないだろうか。
ものにあふれる現代は、ものに振り回されがちでもある。本当に生きる上で必要なものはなんだろうか。本当の意味でものを使うとはなんだろうか。イワンは確かに馬鹿なのだが、一方でそういう大事なことを押さえているように思われる。