続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

瓶詰めの地獄 夢野久作

 

瓶詰の地獄 (角川文庫)

瓶詰の地獄 (角川文庫)

 

 

『この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です』(市川 太郎)
 
夢野久作の短編。無人島に流れついた兄妹が記した三枚の手紙、というシンプルな構成でありながら、そこにはトンデモナイ地獄が描かれる。あえて情報量を少なくすることで、様々な可能性を想像させる手法はすさまじいの一言だ。どうにかハッピーエンドに解釈できないかと、一生懸命考えてしまう。しかし、どうしても悲惨な結末しか思い浮かばない。そういう意味で、読者もまた地獄へ送り込まれているのだ。文章表現の可能性というものに触れた気がした。
 
どうにか兄妹に救いのある解釈はないものだろうか。