おおかみこどもの雨と雪 細田守
『だいじょうぶ。もう大人だよ』
『・・・・・・大人?』
『自分の世界を見つけたんだ』
(花と彼、花の夢の中で)
"おおかみおとこ"と恋に落ちた女の子"花"。彼らの子供たちである『 雨』と『雪』は、狼にも人間にも変身できる"おおかみこども" だった。
こんなにファンタジックな設定なのに、 どうしてこんなにリアルに"生きる"ということを描けるのか!?
前半は夫の死を乗り越え、たった一人、 秘密を抱えながら子育てに奮闘する花ちゃんの物語。 随所に母の強さ、母の愛が描かれる。
後半は子供達の成長の物語。おおこみこどもは、 フツーの人間と違い、"人間"か"おおかみ"か、 2通りの生き方が選択できる。この設定が実にいい。 子供達の成長を追いつつ、『あの子はこういう成長を遂げたか。 立派になったたなあ』と、 親戚のおっさんのような気持ちになってしまった。
"生きるってなんなの?"とおもってしまった人に読んでほしい。 何か、見えるものがあるかもしれない。