続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ロコ!思うままに

ロコ! 思うままに (角川文庫)

ロコ! 思うままに (角川文庫)

『いいことしかないさ。ロコ!さあ、お前の思うままに』

オーケンこと大槻ケンヂさんの短編集。やはり独特な、グロテスクな世界観が展開される。
個人的に『グロテスク』とという言葉は、実に意味深い。水と油のように何か相反するものが、奇跡のように一緒になる。そのような状態を表す不思議な言葉であると思う。単純に『怪奇』の一言で済ませるのは、あまりなもったいない。
本書は、三章に分けられ、『光のほうへ』『闇の側へ』『再び輝きへ』と表題がつけられる。それぞれ、明るい話、暗い話、そして再度明るい話、と内容は大雑把にいえる。しかし、明るさの中にもベトつくような闇があり、暗さの中にも心奪われるような煌めきがある。相反する光と闇がごっちゃになる。オーケンの世界はまさにグロテスク、なのだ。