覗き小平次
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 文庫
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『この世の中は全部嘘だぜ』九化の治平
ただそこにいるだけで幽霊そのものである役者、小平次。しかし、逆にまともな芝居は一切できず、大根役者と呼ばれ一応の妻からさえもボロクソに嫌われる。そんな彼を中心に、闇にうごめくものどもが集まり、事件が動き始める。
基本的に小平次とその妻が事件を通して変わる、というか、気づく、というのか、ある種の愛を見出すストーリー。京極夏彦の作品らしく、異形の愛が描き出される。
という本筋よりも、個人的には本シリーズにちょいちょい顔を出す、事触れの治平が、小平次との偶然のやりとりの中で己を見出すところが好き。九化の治平から事触れの治平へ、この作品では多くの登場人物の成長が描かれるか、彼の成長が一番、とぼくは思っている。