続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

すべてがFになる [森博嗣]

すベてがFになる (講談社文庫)

すベてがFになる (講談社文庫)

数字の中で、7だけが孤独なのよ

森博嗣のシリーズもの。スカイ・クロラシリーズがなかなか近所の本屋で見つからないので、このS&Mシリーズにも手を出してみることにした。

ミステリーもので、大学教授の「犀川」とそのゼミの学生で世間知らずなお嬢様である「西之園」が密室殺人に挑む。その衝撃の結末と計算しつくされた表現は読者をグイグイの本の世界の中へ引きこんでくれる。

しかし、そんなことよりもこの本の一番興味深いところは、ふとした時に現れるキャラクター(主に犀川教授)の哲学的な表現・思考だ。実に科学者的(作者が元大学教授なので、作者の思考なのだろう)で、ぼくらに豊かな問題提起をしてくれる。(少なくとも現在は)答えがない問題ではあるが、ミステリーそのもの以上に引き込まれる要素がここにある。本質を考えることを思い出させてくれる。さすがは元大学教授といったところか。