続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

失はれる物語

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

天才乙一さんの短編集。全体的なテーマとしては「暗い影のただよう主人公+ほんの少しのファンタジー」であると思う。「友達のいない女子高生+脳内携帯電話」や「親に捨てられた小学生+傷を移す能力」など。そしてこれが天才の手にかあかると、実に悲しくて、恐ろしくて、それでいて心温まり、何故かさわやか、という奇妙な物語に昇華する。

一日一話ずつ読もうと思ったが、あまりの面白さに一気に全部読んでしまった。99%絶望の中で1%の希望にたどり着く、人間讃歌ともいうべきものを感じた。