続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

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 ちょっと昔の話になるけど世界陸上をぼんやりみてたら男子マラソンの佐藤選手についてアナウンサーがこんなことを言っていた。


「佐藤選手は非常に研究熱心で、最近はパソコンを駆使して世界のトップランナーのフォームを解析している。こうやってトップランナーのエッセンスを自分自身にインストールすることで、自分を高めていっているんですねー」


大体こんな感じ。


 なんとなく選手をパソコンに例えた、「エッセンスを自分にインストール」っていう表現が気に入った。丸々コピーするんじゃなくてポイントを抽出して、自分の中に取り込む・・・つまりはいいとこ取りなんだけれど、よくよく考えるともっと深い意味があるように思う。


 パソコンで考えると、片っぱしからいいソフトをインストールしても、ソフトの相性が悪く、うまくかみ合わないとせっかくの機能が生かせない。下手をするとパソコンが壊れる。不要なソフトがいっぱいインストールされているせいで処理速度が落ちることも考えられる。また、1つのパソコンのデータをどんなに他のパソコンにコピーしても、まずオリジナルの性能を超えることはできないと思う。有用なソフトを集めてこなければ、性能を引き出すことはできない。


 これをヒトに置き換えると、ヒト=パソコンであり、ソフト=エッセンスである。どんなに良いとこどりでエッセンスを取り込んでも、うまく組み合わせなくては向上は望めない。まして猿まねをしたって決してオリジナルには敵わない。単純なヒトの性能には多少の差はあっても、基本的に変わらないし、コピーはどうしても劣化コピーにすぎないからだ。よりよいものを作り上げるには、いろいろなものを経験してインストールし、自分の中で様々な組み合わせを試してみる必要がある。組み合わせを変えると時に爆発をおこしてすごいものができる。これがヒトの成長であり、同時にほんとの意味での勉強なんだと思った。