続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

バーフバリ 王の凱旋 SS ラージャマウリ

インド国家を挙げた一大プロジェクト第2作。これがドッカンきたときに、ぼくはその存在を知って、ひとまず一作目をレンタル観た。本作は近場で見れなかったんで、やっとこれまたレンタルで観たのだ。

この映画、一言で言うならばアジア映画とハリウッド映画のいいとこ取りである。ハリウッドさながらのド派手なアクション、日本映画の如き骨肉の争い、東南アジア独特の豊かな色彩、中国映画ばりのワイヤーアクション。そして、神話さながらの理屈抜きに納得と行くストーリー(これが1番凄いと思う)。これらを実に見事に一つの作品としてまとめた感時に努力と才能には頭が下がるとしかいいようがない。

そしてたぶんこれが、未来に映画の1つの形なのだ。ハリウッドはテクニックは凄まじいが、繊細なストーリーは苦手だ。日本映画はストーリーの妙はあるものの、テクニックが追いつかない。世界各地で一長一短であった映画が、インドでついに集結した。これからの「金のかかった映画」はこうなっていくにだろう。もちろん、予算が大きければいい映画ではない。それでも金の力は大きなものを生み出す。なぜなら、現代地球の多くの国は資本主義を採用しているにだから。

ボロボロになった人へ Lily Franky

 

ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫)

ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫)

 

 

人生は浮き沈みの連続である。そんな人生の一場面、沈んでしまった、あるいは沈みつつある人々を描く短編集。

 

人間は光り輝くだけのものではない。すべてを吸い込んで真っ暗に堕ちていくこともある。そんなことを思い出させてくれる一冊。人生は浮き沈みだ。沈みも含めて人生なのだ。

山本耳かき店 安倍夜郎

 

山本耳かき店 (ビッグコミックススペシャル)

山本耳かき店 (ビッグコミックススペシャル)

 

 「ふぅ」(耳かきの仕上げ)

 

なんともニッチな着眼点で描かれる安倍夜郎先生のデビュー作。深夜食堂が大当たりする前にこの作品ははじまったようだが、以来不定期でコツコツ連載されてきたようだ。

 

人生の様々なときに耳かき店を訪れる人々は、その官能的なやすらぎに心動かされる。あるものは恋愛に目覚め、あるものは安らぎを覚え、あるものは悩みから一歩」足を踏み出す。

 

耳の中に棒を突っ込むという行為は意外と危険である。そう思うと、仕事とはいえ見ず知らずの他人に耳かきをしてもらうというのはなかなか勇気のいる好意だ。そして耳かきをしてもらうというのは相手に自分の身をあずけることとも言える。そういった状況はギスギスしがちな現代社会ではまず無い。そういう特殊な行為が人の心にお大きな影響を与えることはあってもおかしくないと思う。

 

セリフ少なく、ゆったりと流れる独特の空気のは心地よい。深海に潜って物語を楽しむような、そんな不思議な漫画である。

バッドボーイズ2バッド マイケル・ベイ

いまやトランスフォーマーシリーズでおなじみのマイケル・ベイ監督の出世作シリーズ2作目。マイアミ警察のはちゃめちゃコンビが、今日も豪快に(結果として力尽くで)事件を解決する。

豪快なストーリーと派手なアクションでスカッと気分爽快に観れる映画。キレッキレのウィルスミスが爽快感を盛り上げる。ほどよいコメディ要素もあって家族みんなで楽しめる映画に仕上がっている。ちょっとグロいシーンが多いので、お子ちゃまには見せられないけれど。

ド派手なアクションシーンはトランスフォーマーシリーズに通づるところも多い。比べてみると映像の進化を感じられるにではないだろうか。

竹取物語 阪倉篤義工訂

 

竹取物語 (岩波文庫)

竹取物語 (岩波文庫)

 

 

高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を何度かみてるうちに思った。かぐや姫ってこんな話だったっけ?かぐや姫は子供の頃に絵本で読んだ程度だろうか。よく考えるとかぐや姫のちゃんとした原作はよく知らない。ならばと思って読んでみた。

 

読んでなるほど。高畑監督は実にしっかりと原作通りに映画を作っている。捨丸を加えた以外はほとんど原作通りに映画化されていた。

 

これが日本最古の物語だというのだからすごい。実に想像力豊かに、ときにはジョークも交えながらお話は進む。竹から生まれたのは実は月の国の人だから、という落ちも改めて思うとすごい。さらには地上へ堕ろされたのは姫がなにか罪を犯した罰であるという。「姫が犯した罪と罰ー」というのは高畑監督のかぐや姫のキャッチコピーであるが、これは映画オリジナル設定かと思っていた。原作にもちゃんとあるのね。

 

今よりはるかに「生きる」ことが大変だった時代。人々はその苦しみの原因は地上が穢れた地であるためと考えていたのだろう。そして、天井には穢れなき国があると信じ、いつかはそこへ行けるかもしれないと思ったのだろう。物語を通して平安の人々の思想が垣間見える。改めてすごい作品だと思った。

スプリング・ブレイカーズ ジェームズ・フランコ

スプリング・ブレイク。アメリカの大学生達の春休み。それは特別な開放感に包まれる特別な長期休暇。女子大生4人組は、ハメを外すためフロリダへ。旅の資金をまさかの銀行強盗で稼ぎ、はちゃめちゃな旅が始まる。

あんまり深いことは考えずに観れる映画。基本的には調子よく、あとエロい。おっぱいとかぼろんぼろん出てくるので、途中から「おっぱいって別に隠さなくていいんじゃ」という気がしてきた。

冒頭で主人公たちが銀行強盗をしでかすことで全体的に暗いものが旅の最中につきまとう。まぁ旅の中身もハメ外し過ぎててかなりやばい感じではあるんだけれど。そのどんよりとした感じがアルコールのように効いてくる。どことなくカルトっぽい匂いが漂うこの映画。たまにはこういう毒っぽいものもありかもしれない。

宮本武蔵 (六) 吉川英治

宮本武蔵(6) (吉川英治歴史時代文庫)

宮本武蔵(6) (吉川英治歴史時代文庫)


「富士は、1日でも、同じ姿であった事がない」(武蔵 )

武蔵もいよいよ円熟期。弟子、伊織を得て師としての武蔵の顔が見えてくる。途中、山賊に襲われる村を村の民を先導して守るなど、人を率いる力を武蔵が示し始める。個としての力を示してきた武蔵が一皮向けた瞬間だと感じた。