続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ムリなく、ムダなく、より速く完走できるマラソントレーニング 島田佳久

“ムリなく”“ムダなく”より速く完走できる マラソントレーニング

“ムリなく”“ムダなく”より速く完走できる マラソントレーニング

マラソンのトレーニングについてのハウツー本。

アスリート向けではなく、あくまでも市民ランナーが走るための本という位置付けで、フルマラソン完走を目指す初心者からサブ4を狙う中級者むけのアドバイスが詰め込まれている。

僕自身も趣味ランナー(大会とかには出ない)だったのだが、つい最近縁あってフルマラソンに挑戦することになった。結果は、途中で足が痙攣し、なんとかゴールはしたものの約5時間。走りきれなかったことが非常に悔しく、我流の趣味ランナーの限界を感じてこの本を帰りに購入した。

非常にわかりやすく、目指すべき目標とマラソンへの取り組み方がまとめてある。目標タイムやトレーニング方法もクリアでわかりやすい。これからはマラソンを走るという目標のために走ってみよう、という気にさせてくれた。次のマラソンは完走(最後まで走りきる)が出来るよう、トレーニングを積みたい。

落語百選 秋 麻生宜伸 編

落語百選 秋 (ちくま文庫)

落語百選 秋 (ちくま文庫)

落語を読むというのはどんなものかと思い選んだ一冊。
確か立川談春は子供の頃、落語本を読んで育ったと「赤めだか」で述べている。曰く「落語は読み物であった」だろうか。

読んでみれば、落語というのは短編面白小説である。生き生きとした個性あるキャラクターが、江戸の世界で動き回る。そして、落語は長い時代のなかで多くの落語家によって磨き抜かれた噺である。ストーリーもオチも知っているのに、何度読んでも面白い。

落語とは名作小説という一面がであったのだ。実に素晴らしい日本の文化だ。

スター・ウォーズ エピソードⅧ  ライアン・ジョンソン

 

スター・ウォーズ/最後のジェダイ  オリジナル・サウンドトラック

スター・ウォーズ/最後のジェダイ オリジナル・サウンドトラック

 

 

スター・ウォーズ新3部作の2作目。とにかく前作ラストで登場したルークがどうなるのかが気になるところだが、それは個々には書くまい。それぞれの目で見るべきなのだろう。

 

個人的には前作以上に「とてもディズニー映画らしく」なったと思った。まぁ仕方がないかもしれないが、ディズニーからのすごいフォースを感じる(笑)。

 

スター・ウォーズには様々は地球外生命体が登場する。そのキャクターの造形や、SF設定なども一つの見所だ。これまでのスター・ウォーズに登場する地球外生命体はどちらかといえば少し気持ち悪いキャクターだったように思う。ジャバなんていかにもだし、ジャー・ジャーなんかも独特。たぶん爬虫類っぽいヤツが多かったのだろう。毛の生えてるやつも基本的にごつい。この辺が女の子にはちょっと受けないとこだったと思う。

 

対して本作にはキレイな白馬のようなエイリアンや、もふもふのペンギンみたいなヤツが登場したりする。後者なんかはいかにもペットに飼いたくなるようなキャラクターで、たぶん女の子にもうけるだろう。この辺はたぶん商品化される。

 

また、物語のキーとなる登場人物に女性が増えた。スター・ウォーズの女性キャラは女王とか母親が印象に強いが、本シリーズは主人公からして女の子だ。たぶん、今のスター・ウォーズはこれまで未開拓だった女の子ファンを獲得していきたいのだろう。ディズニーのフォースである。

 

また、登場人物の大半が人間になったのも印象的だ。スター・ウォーズの世界にはいろんな宇宙人、種族が登場する。これらが民族としての力を持つ一方、宇宙に飛び立てば宇宙船のなかで共存する。宇宙を舞台に人間と人間が争うからスター・ウォーズなのではない。宇宙にちらばる無数の民族が生存をかけて戦うからスター・ウォーズなのだ。帝国と共和国の争いは、その大まかな形なのだ。個人的にはもっと変な宇宙人を出して欲しい。スター・ウォーズは美しい人間の物語ではなく、宇宙のクロニクルであって欲しいのだ。

栞子さんの本棚

「ええ、やってみるわ」(『たんぽぽ娘』よりジュリー)

ビブリア古書堂シリーズの題材となった小説の一部をまとめた本。結構奇妙な本で、編集者はおらず、著者は夏目漱石他12名。ビブリアシリーズは2冊ぐらいよんでみただろうか。たぶん、登場順に作品が並んでいるのだろう。また奇妙なことに、半分程度の作品は一部抜粋である。なので最後まで読み切ることはできない。

それでも不思議と楽しめる一冊であった。特にロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」は良かった。とてもキレイなSFである。あとで調べると、これは最近まで絶版の一冊であったらしい。たまたまこの本を手に取らなかったら、生涯読まなかったかもしれない。そして、このたんぽぽ娘はぼくの心に刻まれる一冊になった。

非常に短い短編と、ピンポイントで面白いところを押さえた抜粋作品がコンパクトにまとまった一冊。ジャンルも様々で「小説を読むことの面白さ」が詰まっていると思う。活字嫌いな人にオススメしたい。

傷物語 西尾維新

傷物語 涜葬版

傷物語 涜葬版

「キスショット。僕は人間なんだよ」(阿良々木暦)
「そうか。儂は吸血鬼じゃ」(キスショット)

化物語シリーズ第…何弾なんだろうか?
適当に読んでいるので何作目かよくわからない。

本作はシリーズ始まりの物語。主人公・阿良々木暦が吸血鬼・キスショットと出会った顛末を描く。

ライトノベルらしくさくさく読めるが、なかなか描写はえげつない。エグさやグロさは妖怪譚には必須というところか。吸血鬼が出てくる以上当然の描写なのか。

登場人物それぞれの思惑がわかりやすく、またそのすれ違う様がドラマを生み出している。ファンタジーなのに、妙なリアリティがあるのはこのすれ違いのドラマがリアルだからだろう。絶妙なバランス感覚だと思った。

健康格差 NHKスペシャル取材班

『寿命って自己責任ですか?』(帯より)

近年のベストセラーということで読んで見た。『健康』は近年の売れるキーワードといつまても過言ではないだろう。その世の中の気運を受けつつ、健康格差という世の中の問題に切り込みをいれる。本書はそういう本である。すなわち、この本は問題提起をしているのだ。それも日本社会の根幹に関わる問題提起である。

少子高齢化の進む今の日本社会では、医療介護費がバカにならない。老人が健康に、ピンピンコロリと死ねる世の中ではないのだ。それを若者が血反吐を吐いて支えなければ、今の日本はありえない。

老人がピンピンコロリと死ぬためには、若殿が社会の遺産を背負わないためには、健康寿命が大切である。そのためには何が必要なのか?

健康は個人の問題と考えられがちであった。しかし、実際にはそんなことははない。人は与えられた環境で生きるだけである。培養液の以上がその中の細胞を死滅させるように、人はその文化に殺されるのかもしれない。

文化は個人でコントロールできない。今こそ、社会が、政府が、健康を考え直すときである(いや、先進国ではすでになされつつあるじぎょうでる)。そのきっかけと、本書がなってほしいとぼくは思った。

幽談 京極夏彦

『俺はさ、観察してるから知ってるぜ』(〔知らないこと〕より、兄』

京極夏彦の短編集。

京極堂シリーズにあるような、頭の後ろがビリビリと痺れるような得体の知れない恐怖が描かれる。

この分かるようで解らない恐怖こそ『幽けきもの』なんだろう。なんとなく形があるように思えて、その実何もないかのように手応えがない。そのギャップに人のもつ想像力が勝手にこの世ならざるものを見る。

この本を読んで怖いと感じるのなら、きっとあなたは想像力豊かなのだ。