続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

君に友達はいらない 瀧本哲史

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない

必要なのは、同じ目標の下で、苦楽をともにする『戦友』だ

仕事を為す(目的を達成する)ということのため、人間関係を考えるビジネス書。

申し訳ないが第2章までで飽きてしまい読むのを諦めてしまった。今現在、仕事に取り組んでいる人であれば多かれ少なかれ感じているようなことが改めて書かれているだけのように感じたからだ。本書の内容は発行から3年間で、社会の中に浸透しきっているのかもしれない。

基本的にはこれから社会に出る高校生〜大学生に向けた本なのであろう。ただ、社会人にとっも人間関係を見つめ直す上で役に立つ本だと感じた。本棚には置いておきたい。

海賊と呼ばれた男

「海賊とよばれた男」オリジナル・サウンドトラック

「海賊とよばれた男」オリジナル・サウンドトラック

2017年お正月映画。原作は未読。

トーリーはなんとなく想像はついていたけど、それでも胸が熱くなる。日本人受けするみんなの力を合わせて頑張るという展開の威力は流石。20代から90代まで1人で演じる岡田准一の演技力もすごい。歳に合わせた特殊メイクも違和感ない。日本の特殊メイクってこんなにできたっけ?色々と感心する映画だった。

動物農場 ジョージ・オーウェル

「わしがもっと働けば良いのだ」(ボクサー)

人間に搾取され続ける農場の動物たちは、老豚の言葉で立ち上がる。人間どもを農場から追い出し動物の楽園を作るのだ。かくして動物農場は生まれた。最初こそそれぞれの仕事をのほほんとこなし、ユートピア作りに勤しむ動物たちだったが、次第に頭のいい豚たちが全体を仕切るようになっていく。そして、豚たちは権力におぼれていくのだった。

皮肉たっぷりに人間社会を描き、社会主義を風刺する一作。しかし、今の社会にも通じるものがあるように思う。結局、主義や主張が変わっても中身の構造は大体同じなのだろう。資本主義や民主主義なら良いというわけではないのだ。

個人的には、寡黙な老ロバのベンジャミンが作中唯一叫ぶシーンが心に残る。彼は、賢いが、世の中は変わらないと決め込み行動しない老人の象徴だ。そんな彼が叫ぶのは、労働でくたびれ果てたロバのボクサーが屠場へ連れて行かれる際だった。周りの動物たちはボクサーが病院へ連れて行かれるものと信じている。馬車には屠場行きの文字があるにもかかわらず。「このあきめくらどもめ!」とベンジャミンが叫ぶ。しかし、もう誰にもどうすることもできないのだった。

超高速!参勤交代

超貧乏な湯長谷藩。金山発掘の報告に偽りの嫌疑をかけられて、5日で参勤交代しなければ、藩はお取りつぶしとの沙汰を受ける。殿の下した決断は、参勤交代をやってのけ老中に直談判する道であった。

江戸幕府と大名の関係をコミカルにした物語。大名もいろいろ苦労しているんだという現実をわかりやすく描いている。最近のコミカル時代劇の流行りの走りか。勧善懲悪のお話なので、頭を使わず気楽に楽しめる。金曜ロードショウにもってこいの映画だ。

少女 湊かなえ

少女 新装版 (デザートコミックス)

少女 新装版 (デザートコミックス)

「親友よりも彼氏が大切な子なんて信用できるはずがない」(遺書より)

イヤなミステリー、略してイヤミス。本作は女子高生の物語。

死に引き付け2人の女子高生、敦子と由紀。死を悟るため人が死ぬ瞬間を見たい思い出した2人はそれぞれのアプローチを始める。一夏の間に起こる衝撃のミステリー。

女子高生の思考の描き方がすごく上手い。理屈が通っているようで、支離滅裂。友達のことを考えているようで、自己中心的。女の子と大人の女性の中間の曖昧な思考にすごくリアリティがある。

物語は2人を中心に、様々な登場人物が複雑に関わり合い織り成されていく。ちょっとありえないレベルで人間関係が絡まるが、描写がリアルな分ストーリーにフィクションが強い方がバランスが取れるのだろう。ありそうでない物語としていいバランスで配合されている。

小説は基本的には毒である。本作は純度の高い、いい毒だ。たまにはこんな作品を舐めてみるのもいいんじゃないだろうか。

ベイマックス

「私はベイマックス。あなたの健康を守ります」(ベイマックス)

原題はBig Hero 6である。なのでヒーローチームの活躍を描くお話である。しかし、邦題をベイマックスとしただけで、主人公ヒロとベイマックスの友情を描く物語に早変わり。

細かいことは述べるまい。バディものの見せ場は相棒との別れである。今も昔もこればっかいは変わらない。この上を行く表現はないのだろうか。ぼくは今も待っている。

風立ちぬ 

 

風立ちぬ [DVD]

風立ちぬ [DVD]

 

 「ここは私達の夢の草原だ」(カプローニ伯爵)

「地獄かと思いました」(堀越二郎

 

この世界の片隅に」を観たときにこの映画を見直せねばと感じた。実は今回で3回目になるのだが、なんだかこの映画はすごくぼくの心に刺さっているのだ。

 

2つの映画に共通するのは「戦争という環境下での普通の人を描く」ということでは無いだろうか。

 

風立ちぬの主人公堀越二郎は、戦争へ突き進んでいく日本の中で戦闘機の設計を行っている。飛行機に己の夢を見出した彼は、戦争という環境のなかで自分の夢をかなえる場所を戦闘機の設計士に見出した。戦争があろうがなんだろうが、ヒトは夢に向かって邁進する。

 

ヒロイン・菜穂子はそんな彼のまっすぐな心に惹かれる。死の病である結核に蝕まれる彼女は自分の姿を二郎の心に刻むためだけに生きる。たとえ死に直面しても彼女は彼女なりの夢を見出して生きたのだ。

 

風立ちぬは戦争に向かう過酷な環境の中で、、それでも夢のためにまっすぐに生きた2人の物語だ。そして戦争はただそこにあったのだけであった。それだけだ。二郎も菜穂子もただその中で生きただけであった。ここが宮﨑駿のすごいとこではないだろうか。戦争が善であろうと悪であろうと、人々はだだ生きていくしかだいのだ。そして生きていくことができるのだ。そんな人間の強さがこの映画には描かれている。